乾皮症・皮脂欠乏性湿疹

乾皮症・皮脂欠乏性湿疹とは

 乾皮症(かんぴしょう)はいわゆる乾燥肌のことです。この状態にさまざまな刺激が加わって湿疹を生じたものが皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)で、一般的に強いかゆみを伴います。

症状

 皮膚は乾燥すると柔軟性がなくなり、ひび割れたり皮がむけたりします。症状が進むと、かゆみを伴った赤い発疹が出現し、さらにひどくなると、ジュクジュクとした湿疹となります。円形の湿疹は「貨幣状湿疹」と呼ばれることもあります。

原因

 皮膚のもっとも外側を角質層(かくしつそう)と呼びます。健康な状態の角質層は天然保湿成分を含んでおり、これらの成分は皮膚の深い層から浸みだしてくる水分を保つ働きをします。また、角質層の表面は皮脂の膜によって覆われており、水分の蒸発をおさえる働きもします。水分が過剰に蒸発すると、皮膚は乾燥してしまいます。

 年齢とともに皮膚の乾燥症状は起こりやすくなりますが、体の洗いすぎによっても引き起こされます。熱いお湯と石けんが、天然保湿成分や皮脂を取り除いてしまうためです。また、空気が乾燥していると水分の蒸発が多くなるため、冬季は症状が出やすくなります。社会の高齢化や冷暖房器具の普及といった環境の変化により、乾皮症や皮脂欠乏性湿疹は今後も増えることが予想されています。

検査

 診察だけで診断がつくことがほとんどですので、基本的に検査は必要ありません。

日常生活での注意点

 皮膚の乾燥を防ぐために、まず生活習慣や環境を改善することが大切です。皮膚を清潔に保つために入浴は必要ですが、頻回・長時間の入浴は逆効果です。熱いお湯は皮脂を必要以上に落としてしまうため、38~39℃が適温です。また、ナイロンタオルを使ったりゴシゴシ洗ったりするのは、皮膚に刺激を与えてしまうので止めておきましょう。刺激の少ないボディソープをよく泡立てて使うようにしてください。

 空気の乾燥は悪化要因となるため、湿度は40~50%ほどに保つのが理想的です。冬季は加湿器の使用が望ましいですが、水を入れたボウルを部屋に置いておくだけでも効果があります。

 肌着はなるべく柔らかく、保湿力の高いものを着るのが良いでしょう。アクリルやナイロンなどの化学繊維の衣類は素材そのものが水分を含まないために、皮膚に触れると水分が奪われます。また、ウールや化学繊維の衣類は摩擦や静電気がおき、これもかゆみの原因になることがあります。皮膚に直接触れる肌着は木綿(コットン)のものがおすすめです。

治療

 生活習慣や環境を改善しても、皮膚が乾燥し、かゆみを生じるようであれば、保湿剤の外用が必要になります。保湿剤は市販のものでも構いませんが、添加物には注意し、刺激感があるようなものは避けてください。当院では高純度のワセリンであるプロペト、ヘパリン類似物質を含む保湿剤(ヒルドイドソフト軟膏など)、尿素を含有する保湿剤(ウレパールなど)を症状に合わせて処方しております。お風呂上がりには、すぐに保湿剤を外用するのが効果的です。乾燥が強い方は1日2~3回外用するのが理想的です。

 湿疹を生じていると、保湿剤の外用だけでは治らないため、副腎皮質ホルモン軟膏(ステロイド軟膏)を一時的に併用します。ステロイド軟膏にはさまざまな強さのものがあり、炎症の程度や部位に応じて最適なものを選択します。当院では不必要なステロイド軟膏は使いませんが、メリットがデメリットを上回ると判断した場合は患者さまにご説明した上で、処方しております。

 就寝中は副交感神経が優位になるため、かゆみが強くなります。かゆみがつらい方や、寝ている間にかきこわしてしまう方には、かゆみ止めの内服薬として抗アレルギー薬を処方する場合があります。抗アレルギー薬には眠気が出るタイプのものもありますが、そのほかの副作用はほとんどありません。