薬疹

薬疹とは

薬疹(やくしん)は、なんらかの薬を投与したことにより生じる発疹です。病院で処方される薬だけでなく市販薬やサプリメントなどでも起こることがあります。

薬疹の中には、命に関わったり後遺症が残ったりするような重症なタイプがあります。早期治療が重要ですので、疑わしい発疹が出現した場合には、早めに皮膚科へ受診するようにしてください。

症状

薬の種類や患者さまの体質によりさまざまなタイプの発疹が見られます。発疹が出現するのは、薬を飲み始めてから1~2か月以内のことがほとんどですが、数か月~数年かかる場合もあります。発熱、目の充血、水ぶくれ、といった症状は重症化のサインです。

原因

どんな薬でも薬疹を起こす可能性はあります。抗菌薬や解熱鎮痛剤によるものが多く見られますが、ビタミン剤・ホルモン剤・漢方薬なども原因となることがあります。

また、薬疹の多くはアレルギー性です。アレルギー性の薬疹は、薬に対して反応するような細胞や抗体がある方にのみ生じます。通常このような細胞や抗体ができるまでには内服を始めてから1~2週間ほどかかるため、初めて内服する薬であれば2、3日で発疹を生じることはありません。

検査

薬疹の種類により、血液検査、プリックテスト、パッチテスト、内服テストなどを行います。血液検査は当院で行うことができますが、そのほかの検査が必要となる方は大病院へご紹介させていただきます。

治療

まず薬疹の原因となっている可能性がある薬を中止することが大切です。いくら治療を行っても、原因の薬を内服し続けていると重症化してしまいます。薬疹と診断されたら、その日から薬を中止してください。薬の種類によっては、すぐに中止すると危険を伴うものもありますので、そのようなときには薬を処方した医師の指示に従ってください。急を要する場合は、薬を処方した病院に当院から連絡を取らせていただくこともあります。

  • ステロイド外用薬
    ステロイドは副腎皮質ホルモンとも呼ばれ、炎症をおさえる作用があります。ステロイド外用薬にはさまざまな強さのものがあり、炎症の程度や部位に応じて最適なものを選択します。同じ部位に長期間塗り続けると、皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりする副作用が起こることがありますが、薬疹では副作用を生じるほど使用することは基本的にありません。
  • ステロイド内服薬
    炎症が強く起きている場合には外用薬だけでは力不足となるため、ステロイド剤を内服する必要があります。長期間内服していると肥満・糖尿病・胃潰瘍・骨粗しょう症・ニキビなど、さまざまな副作用が起こることがあります。薬疹が治まってきたら減量・中止することになりますが、早く中止しすぎるとぶり返す場合があるため注意が必要です。重症でステロイドの大量投与が必要な患者さまは、大病院へご紹介させていただきます。
  • 抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬
    ステロイドのような強い作用はありませんが、アレルギー反応をある程度おさえ、かゆみ止めの効果もある薬剤です。ほとんど副作用はありませんが、眠気を生じる場合があります。一般的には、ほかの薬剤と組み合わせて治療に用います。

日常生活での注意点

薬疹が起こることを防ぐことはできませんが、不要な薬を飲まないようにすることで減らすことはできます。病院での処方薬に比べ、市販薬は安全というイメージがあるかもしれませんが、市販薬はさまざまな成分を混合してあるものが多いため、薬疹の危険性が低いわけではありません。薬の内服を必要最小限とすることが、薬疹を予防することにつながります。

もし薬疹を起こしたら、基本的にその薬は一生内服できないと考えてください。原因となった薬の名前は、お薬手帳などに記載し、病院や薬局で医師・薬剤師にしっかりと伝えることが大切です。

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Posted by taisuke kamiyama