やけど

やけどとは

やけどは熱や化学物質などにより皮膚が傷ついた状態のことで、医学用語では熱傷(ねっしょう)と呼ばれます。軽いやけどであれば冷やすだけでも自然に治りますが、重いやけどでは瘢痕(傷あと)が残ってしまう場合があります。水ぶくれができるようなやけどをされた際には、皮膚科への受診がおすすめです。

症状

やけどの深さは「温度×時間」で決まり、深さにより4つに分類されます。また、体の広い範囲にやけどした場合にはショック状態となることがあります。

  • Ⅰ度熱傷
    皮膚の浅い部分、表皮(ひょうひ)までのやけどです。赤みとむくみを生じ、ヒリヒリとした痛みを感じます。数日で治りますが、一時的な色素沈着を伴うことがあります。
  • 浅達性Ⅱ度熱傷
    表皮の下にある真皮(しんぴ)の浅い部分までのやけどです。赤みと水ぶくれを生じ、痛みます。1~2週間で治り、色素沈着は生じるものの瘢痕(傷あと)は残りません。
  • 深達性Ⅱ度熱傷
    真皮の深い部分までのやけどです。水ぶくれの部分が紫~白色調となり、浅いやけどに比べると痛みが軽くなります。治るまで3~4週間かかり、瘢痕になることが多いです。
  • Ⅲ度熱傷
    真皮の下まで達するやけどです。黒~茶色、白色となり水ぶくれは見られません。痛みも感じなくなります。治るまで1~3か月かかり、瘢痕が残ります。

原因

やけどの原因は、以下の4つに分類されます。大部分は温熱によるものです。

  1. 温熱
    熱湯や火炎など熱いものです。45℃以下のものに長時間接触して起きた場合は「低温やけど」と呼びます。
  2. 電気
    雷や電流です。
  3. 化学物質
    酸やアルカリです。アルカリは酸に比べ、傷が深くなる傾向にあります。
  4. 放射線
    日光や放射線です。日焼けはこれに当てはまります。

検査

通常は検査をする必要はありませんが、深いやけどが疑われる場合には針を用いた痛覚検査を行うことがあります。また、やけどが広範囲にわたる場合には血液検査なども必要となります。

治療

    1. 初期治療
      やけどをした際に、もっとも大切なことはすぐに冷やすことです。流水で15~30分は冷やすのが効果的です。脱がせにくい洋服を着ている場合は、まず洋服の上から流水で冷やし、その後にゆっくり脱がせてあげるのがおすすめです。お子様やご年配の方のやけどでは冷やしすぎによる低体温にも注意が必要です。
    2. 受診後の治療
      Ⅰ度熱傷、浅達性Ⅱ度熱傷といった浅いやけどで赤みが強いときには、まずステロイド外用薬を使用します。Ⅰ度熱傷では赤みが引いたら治療は終了です。浅達性Ⅱ度熱傷では水ぶくれ・皮むけが残るため、赤みがある程度引いたところで外用薬を変更します。傷の状態によってゲンタシン軟膏、プロスタンディン軟膏、アクトシン軟膏などを使用します。深達性Ⅱ度熱傷、Ⅲ度熱傷といった深いやけどでは抗菌作用に優れたゲーベンクリームを用いたり、植皮などの外科的治療を行ったりします。
      広い範囲にわたるやけどではショック状態となり命に関わることもあるため、入院し点滴治療なども行う必要があります。
    3. 色素沈着、瘢痕(傷あと)の治療
      浅いやけどによる色素沈着は徐々に薄くなっていきますが、紫外線に当たると濃くなってしまいます。外出時には日焼け止めをしっかり塗ることが大切です。またビタミンCの内服や、ハイドロキノントレチノインといった外用薬もある程度有効です。
      深いやけどによって瘢痕が残ってしまった場合には症状に応じて、ステロイド剤の外用・注射、ヒルドイド外用、リザベン内服、テープによる圧迫、手術療法などを行います。

日常生活での注意点

温度が低いカイロ・湯たんぽ・電気毛布などでも長時間、同じ部分に接触しているとやけどを起こします。飲酒時や、睡眠薬を内服している方、糖尿病の方などでは感覚が鈍くなっていることがあるため、とくに注意が必要です。

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Posted by taisuke kamiyama