SADBE療法・DPCP療法
SADBE療法とは
円形脱毛症に対する治療法です。SADBE(squaric acid dibutylester)と呼ばれる化学物質を頭皮に塗ることで人工的にかぶれを起こします(1)。とても効果が高く、日本皮膚科学会でも強く推奨されています(2)。またその一方で副作用が少ないため、お子様からご年配の方まで受けていただくことができます。
治療の流れ
- まず脱毛部の一部に高濃度のSADBEを塗布します。これで体がSADBEのことを覚えるため、2回目以降は低濃度で反応するようになります。初回は腕に塗布する病院もありますが、高濃度のSADBEを塗布した部分は色素沈着を起こすことが多いため、当院では頭部に塗布しています。
- 2回目は初回から2週間以上あけて行います。頭部全体に低濃度のSADBEを塗布し、洗髪は外用の10~12 時間後に行っていただきます。
- 3回目以降は、塗布した後に少し赤くなり2~3日ほど軽いかゆみが続くのが丁度良い濃度です。反応が弱い場合は、SADBEの濃度を少しずつ上げていきます。初回に塗布した部分も含めて全く反応が見られない場合は、初めに戻り高濃度のSADBEを再度塗布します。
- 発毛が見られるまでは1~2週間に1度の頻度で塗布するのが理想的です。平均3か月ほどで発毛が見られます。発毛が見られてからも3~4 週に1 回はSADBEを塗布すると再発を防止することができます。
ご注意
- ステロイド外用薬はSADBE療法の効果を弱めてしまうため併用できません。
- 頭皮の状態によっては、同じ濃度のSADBEを塗布していても急に強い反応を生じることがあります。湿疹を生じた場合には、一時的にステロイド外用薬を用いて治療します。
DPCP療法とは
DPCP(Diphenylcyclopropenone)と呼ばれる化学物質を用い、SADBE療法と同じように治療を行います(3)。SADBEに比べ強いかぶれを起こしにくいものの治療効果は同程度とされており、SADBE療法でかゆみなどの反応が見られなくなった方にも有効です(2)。DPCP療法も副作用は少ないため、お子様からご年配の方まで受けていただくことができます。
<文献>
(1) Happle R et al: Contact allergy as therapeutic tool for alopecia areata: Application of squaric acid dibutylester. Dermatologica. 1980;161:289–97.
(2) 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日皮会誌. 2017;127:2741-62.
(3) Happle R et al: Diphencyprone in the treatment of alopecia areata. Acta Derm Venereol. 1983;63:49-52.