粉瘤
粉瘤とは
粉瘤(ふんりゅう)は、なんらかの原因により皮膚の中に皮膚と同様の構造の袋ができてしまった状態です。悪性ではありませんが、徐々に大きくなり、細菌感染を起こすことがあるため、早めに治療(手術)してしまうのがおすすめです。
症状
皮膚の中に皮膚と同様の構造をもった袋ができ、中に垢(アカ)がたまっていきます。垢がたまっていくため、少しずつ大きくなり、しこりとして触れるようになります。無理に押し潰したりすると中から垢が出てくることがあり、チーズの様な臭いがします。
粉瘤はどの部位にもできる可能性がありますが、比較的多いのは頭・顔・背中・おしりです。
細菌感染を起こすと、赤み・腫れ・痛みを生じ、炎症性粉瘤と呼ばれます。急に膿がたまり、2~3倍ほどの大きさになります。
原因
粉瘤ができる原因はさまざまです。外傷(ピアスの孔など)やヒトパピローマウイルス感染などが原因となることが知られていますが、原因がはっきりしない方も多く、体質も関係しているようです。
検査
診察だけで診断がつくことがほとんどです。手術で摘出し病理検査に提出すると診断が確定します。
治療
粉瘤は薬では治らないため、手術が必要です。手術を行えば、どうしても傷あとが残りますが、当院ではできる限り目立たない傷あとで粉瘤を摘出することを目指しています。これまで粉瘤を摘出する際には、直径の1~2倍の長さに切開するのが一般的でしたが、これではどんなに丁寧に縫合しても、ある程度の傷あとが残ってしまいます。当院では可能な限りくり抜き法を行っています。
- くり抜き法(へそ抜き法)
くり抜き法では、局所麻酔後に、粉瘤の中心にトレパン(丸いメス)で3~6mmほどの穴をあけます。穴から内容物をもみ出し、袋の壁を切除した後に、丁寧に皮膚を縫合します。部位や傷の大きさによっては、縫合しない方が綺麗に治るため、縫合しないこともあります。6mmの穴をあけた場合は、10日~2週間ほどで傷がふさがります。縫合すれば、術後5~7日で抜糸ができます。 - 通常の手術法
粉瘤の一般的な手術法(外科的切除)は、紡錘形(葉っぱの形)に皮膚を切開し、袋を外側から丸ごと摘出する方法です。以前に炎症を起こしたことがある粉瘤は周囲と癒着したり分裂していることがあり、くり抜き法では取り残す可能性が高くなるため、通常の手術法を選択します。また、サイズが大きな粉瘤も、くり抜き法ではなく通常の手術法がおすすめです。
この方法では、粉瘤の直径の1~2倍ほど切開する病院が多いですが、当院では2/3~1倍ほどの切開で摘出することを目標としています。摘出後は、傷あとを綺麗に仕上げるため、内側を溶ける糸で縫合した後に、外側をナイロンの糸で縫合します。術後5~10日ほどで抜糸ができます。>>くわしくはこちら
- 切開排膿術
細菌感染を起こした炎症性粉瘤の場合、切除が難しく、縫合しても傷が治りにくいため、一般的にはまず小さな切開のみを行います。中にたまった膿を出して、炎症が静まってから、袋を丸ごと摘出する手術を行います。しかしながら、この従来の方法では、治療期間が長くなり、目立つ傷あとが残ることも多かったのが実情です。
サイズが大きな粉瘤ではこのような方法を取らざるを得ない場合もありますが、当院では、炎症性粉瘤の患者さまにも積極的にくり抜き法を行っています。切開排膿後に手術を行うのと比較し、くりぬき法では痛みや傷の治りが早く、傷あとも小さくて済むことがほとんどです。無駄な通院も省けるため、おすすめの治療法と言えます。
日常生活での注意点
患者さま自身で無理に押し潰したりすると、細菌感染を起こすことがあります。感染を起こすと、粉瘤の袋が周囲と癒着し、綺麗に手術を行うのが難しくなります。気になる場合には早めに手術を行うのがおすすめです。