とびひ

とびひとは

とびひは、細菌が皮膚表面に感染することで発症する病気です。手で引っかいたりすると発疹があっという間に広がるのが特徴で、火事のときに火の粉が飛び散って燃え広がる様子に似ているため「飛び火」と呼ばれます。ほかの人にもうつることがあるため、疑わしい場合には早めに皮膚科に受診していただいた方が良いでしょう。

症状

とびひは医学用語で「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と呼び、原因菌と症状によって2種類に分けられます。

  • 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)
    お子様のとびひの多くはこのタイプで、黄色ブドウ球菌が原因です。水ぶくれができ、やぶれるとただれたような状態になります。かゆみがあるため、手で引っかいて体のあちこちに広がることが多く見られます。
  • 痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)
    化膿レンサ球菌が原因となるタイプです。広い範囲が赤くなり、水ぶくれよりもかさぶたが目立ちます。熱が出たり、リンパ節が腫れたりすることも多いです。

原因

とびひは、引っかいたりケガをしたりしてできた傷に細菌が入りこみ、感染することで発症します。黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌のどちらか、もしくは両方が原因となります。黄色ブドウ球菌は健康な人の皮膚の表面や鼻の中にいる常在菌で、化膿レンサ球菌は健康な人の鼻の中やのどにいる常在菌です。

検査

診察だけで診断がつくことがほとんどですが、ほかの病気と区別が難しい場合には細菌培養検査を行うことがあります。近年は抗菌薬が効きにくい耐性菌が増えてきていますが、細菌培養検査を行うことでどの種類の抗菌薬が効果的かを確認することもできます。

治療

  • 内服薬
    まず抗菌薬の内服が治療の基本です。一般的には5~7日ほど内服すれば十分です。かゆみが強い場合には、かゆみ止めの内服薬として抗アレルギー薬を処方することがあります。抗アレルギー薬にはほとんど副作用はありませんが、眠気を生じる場合があります。
  • 外用薬
    外用薬も抗菌作用があるものを用いるのが一般的ですが、かゆみが強い場合にはステロイド外用薬を使用することもあります。ステロイドは副腎皮質ホルモンとも呼ばれ、炎症をおさえる作用があります。同じ部位に長期間塗り続けると、皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりする副作用を生じることがありますが、とびひで外用する期間は長くても1~2週間程度であるため、基本的に心配する必要はありません。
    また、ジュクジュクとした状態が強ければ、亜鉛華軟膏を併用する場合があります。亜鉛華軟膏は皮膚を乾かす作用があり、「リント布」というガーゼに伸ばしたものを貼ると効果的です。亜鉛華軟膏は普通に石鹸で洗っても落ちにくいのが欠点ですが、オリーブ油を染み込ませた布でいったん拭き取った後に石鹸で洗っていただくと綺麗に落とすことができます。

日常生活での注意点

患部は石鹸をよく泡立てて優しく洗い、シャワーでよく流してください。消毒はほとんど効果がなく、かぶれたりすることもあるため、しない方が良いでしょう。

プールの水ではうつりませんが、触れることで症状を悪化させたり、ほかのお子様にうつしたりしてしまう恐れがあります。治るまでプールは禁止していただいた方が良いでしょう。

予防には、お子様の爪は短く切り、手洗いをきちんとさせてあげることが大切です。お子様が乾燥肌の場合にはバリア機能を補強するため、保湿剤をしっかり外用してあげてください。湿疹や虫刺されやなどがあれば放置せず、早めにきちんと治療しておくことも大切です。

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Posted by taisuke kamiyama