水イボ

水イボとは

水イボは、ウイルスが皮膚に感染して生じる発疹で、医学用語では「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」と呼ばれます。放っておいても半年~1年ほどで自然治癒しますが、見た目が気になる場合やプールに入れてもらえずに困るような場合には治療した方が良いでしょう。

症状

主に小学生以下のお子様に見られ、洋服で隠れた部分にできることが多いのが特徴です。やや光沢があって白っぽい2~5mm程度のプツプツとした発疹がいくつも生じ、炎症が起きて少し赤味を帯びている場合もあります。

痒みや痛みは通常ありませんが、アトピー性皮膚炎をお持ちのお子様の場合、湿疹と混ざって生じることがあります。

原因

伝染性軟属腫ウイルスが皮膚に感染することが原因です。お風呂やプールでの直接の接触だけでなく、タオルやビート板、浮き輪などを介してうつることもあります。また、大人では性行為感染症としてうつることもあります。

検査

診察だけで診断がつくことがほとんどですので、基本的に検査は必要ありません。ごくまれに、ほかの病気との区別が難しい場合には、皮膚生検を行うことがあります。

治療

  • ピンセットによる摘除
    しっかりとした効果のある薬剤がないため、専用のピンセットにより水イボをつまみ取る治療が一番の治療法となります。つまみ取るときに痛みがあるため、当院では麻酔のテープを使用しています。テープを1~2時間貼っておくと痛みが軽くなるため、小さなお子様でも泣かずに治療できることがあります。
    時間がない方には、初診時にテープをお渡ししますので、次回来院前に自宅でテープを貼ってきていただきます。時間にゆとりがある方は、当院でテープを貼ってから1~2時間お待ちいただくことで、その日のうちに治療を行うことができます。
  • 液体窒素による凍結療法
    マイナス196℃の液体窒素を、綿棒もしくはスプレーを使ってイボに当て、凍結させる治療法です。ピンセットでつまみ取る治療をお子様が怖がる場合に行うことがありますが、効果を出すにはある程度強く凍結させる必要があり、それなりの痛みを伴います。イボが取れるまで時間もかかるため、積極的にはおすすめしておりません。
  • ヨクイニン
    ヨクイニンは、イネ科の植物であるハトムギの種子に含まれる成分を抽出した内服薬です。効果に個人差がありますが、大きな副作用がないため、ピンセットでの摘除を嫌がるお子様に処方する場合があります。効果が出るまで時間がかかることが多いため、2~3か月ほど内服するのが一つの目安です。
  • 外用薬
    お子様の多くが乾燥肌やアトピー性皮膚炎をベースに持っており、皮膚のバリア機能が低下しているためにウイルス感染を起こしています。乾燥していれば保湿剤を使用し、湿疹があれば適切な治療をしてあげることで、水イボの治りもよくなります。
    水イボそのものに外用薬(硝酸銀ペースト、イソジンなど)を使用するクリニックもあります。痛みがないのが利点ですが、効果がしっかり証明されておらず、湿疹を悪化させることもあるため、当院では使用しておりません。

日常生活での注意点

水イボを引っかいた手でほかの場所を触ると増えてしまいますので、お子様には水イボがうつる病気であることをよく説明し、触らないように言い聞かせてください。

一度摘除しても、すでにまわりにウイルスが感染していると、1か月ほどで新しく水イボが出てきます。出てきたときには、早めに受診していただくのが理想的です。

接触感染するため、水イボが出ている間は一般的にプールには入れませんが、表面的に出ている水イボを摘除してしまえば、翌日から入っても構いません。たとえ水イボが少し残っていても、水着やラッシュガードで覆われる部分であればプールは休まなくても大丈夫です。

家庭内では兄弟間で感染してしまうことが非常に多く見られます。兄弟間での感染防止のためには、別々に入浴し、タオルなどを共用しないことが大切です。

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Posted by taisuke kamiyama