老人性イボ

老人性イボとは

30代のころから出現し、加齢とともに増える皮膚の良性腫瘍です。医学用語では老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)もしくは脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)と呼ばれます。基本的に悪性化することはありませんが、炎症を起こしたり、日常生活で不都合を生じたりするようであれば治療した方が良いでしょう。

症状

手のひらと足のうら以外であれば、全身の皮膚どこにでもできます。とくに日光が当たる頭や顔に多く見られます。

色の濃さはさまざまで、皮膚と同じ色のものから黒っぽい茶色のものまであります。大きさは数mm~3cmくらいで、盛り上がりの程度もさまざまです。よく見ると表面がザラザラしているのが特徴です。炎症を起こして、かゆみを生じることがあります。

原因

加齢と紫外線が主な原因です。遺伝の影響もあると言われています。

検査

診察だけで診断がつくことが多いですが、専用の拡大鏡(ダーモスコピー)を使うと、より確実です。まれに、ほかの腫瘍との区別が難しい場合には、皮膚生検もしくは手術を行うことがあります。切除したものを病理検査に提出すると診断が確定します。

治療

いくつか治療法がありますが、それぞれに長所と短所があります。どの方法を選ぶかは、患者さまとご相談の上で決めさせていただきます。

  • 液体窒素による凍結
    老人性イボに対するもっとも一般的な治療法であり、ほかの治療法と違って麻酔を必要としません。マイナス196℃の液体窒素を、綿棒もしくはスプレーを使ってイボに当て、数秒ほど凍結させます。治療した当日から入浴は可能で、ばんそうこうなども必要ありません。凍結後は、3週間前後で自然にイボが取れてきます。イボが大きいと1回の治療で取りきれないことが多く、そのような場合には、追加で2~3回ほど行います。
    簡単な治療ですが、軽い痛みが1~2日ほど続くことがあります。また、あまり強く凍結させると水ぶくれや血豆ができることもあります。ただし、水ぶくれや血豆ができるぐらいしっかり凍結させると、1回の治療で平らになります。治療後は少し炎症が起こるため、色素沈着が残る場合があります。
  • 炭酸ガスレーザーによる焼灼
    炭酸ガスレーザーは、皮膚を表面から均一に浅く削り取ることができるため、ほかの方法より綺麗に治すことができます。塗る麻酔を行えば痛みもほとんどありません。術後は肌色の小さなテープで1週間ほど保護をします。
  • 外科的切除
    ほかの腫瘍との区別が難しい場合は、メスで切除するのが一番良い方法です。老人性イボ以外の腫瘍は、液体窒素や炭酸ガスレーザーによる治療では取りきれないことがほとんどで、中途半端にそのような治療を行うことでその後の診断も難しくなってしまいます。切除後は、傷あとを綺麗に仕上げるため、内側を溶ける糸で縫合した後に、外側をナイロンの糸で縫合します。術後5~10日ほどで抜糸ができます。>>くわしくはこちら

日常生活での注意点

紫外線が原因の一つであるため、外出する際には、日焼け止めや帽子、日傘などを使うことが大切です。

できもの,皮膚科の病気

Posted by taisuke kamiyama