ほくろ
ほくろとは
ほくろは母斑細胞と呼ばれる細胞が増殖した皮膚の良性腫瘍です。悪性化することは極めてまれですが、少しでも心配なことがある方は、皮膚科専門医への受診をおすすめします。
症状
- Clark(クラーク)母斑
体や手足に多い、茶色~黒色の、ほぼ平らなほくろです。 - Unna(ウンナ)母斑
主に体にできる軟らかいほくろです。淡い茶色~黒色で、表面はでこぼこしています。 - Miescher(ミーシャー)母斑
主に顔や頭にできる半球状のほくろです。淡い茶色~黒色で、表面はツルツルしており、毛が生えていることが特徴です。 - Spitz(スピッツ)母斑
若い方に多い、赤色~黒色のほくろです。急に大きくなることがあり、悪性黒色腫との区別が難しい場合があります。
原因
加齢と紫外線が主な原因です。遺伝の影響もあると言われています。
検査
診察だけで診断がつくことが多いですが、専用の拡大鏡(ダーモスコピー)を使うと、より確実です。まれに、ほかの腫瘍との区別が難しい場合には、皮膚生検もしくは手術を行うことがあります。切除したものを病理検査に提出すると診断が確定します。
治療
メスを用いる方法とレーザーを用いる方法があり、それぞれに長所と短所があります。どちらの方法を選ぶかは、患者さまとご相談の上で決めさせていただきます。
- 外科的切除
メスで切除するのがもっとも確実な方法です。取り残すことが非常に少なく、取ったものを病理検査に提出することができるのが利点です。病理検査では、顕微鏡で診断を確認するだけでなく、取り残しの有無をはっきりさせることもできます。
切除後は、傷あとを綺麗に仕上げるため、内側を溶ける糸で縫合した後に、外側をナイロンの糸で縫合します。術後5~10日ほどで抜糸ができます。>>くわしくはこちら
- 炭酸ガスレーザーによる焼灼
炭酸ガスレーザーを用いて病変を削りますが、ほくろはタイプにより母斑細胞が増殖している深さが違います。浅く削ると取り残して再発し、深く削ると目立つ傷あとになってしまうため、ほくろの状態に応じて削る深さを微調整します。
治療後の傷は乾燥させてしまうと綺麗に治らないため、軟膏を塗布しフィルムつきパッドで閉鎖することが重要です。削った深さにもよりますが、傷は7~14日ほどでふさがります。傷がふさがった後は、色素沈着を防止するための紫外線対策が大切です。ご希望があれば患者さまの肌質にあわせてハイドロキノン、ビタミンC、トラネキサム酸なども処方いたします。
日常生活での注意点
生まれつきのほくろでサイズが大きなものは悪性化する頻度が高いと言われているため、切除しないのであれば、注意深い経過観察が必要です。